当研究室では、大学院生(修士課程)の学生を募集します。
(京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻)
研究室見学を随時、受け付けています。
「4月27日(土)、農学研究科および応用生命科学専攻の大学院入試説明会を開催します」
「5月11日(土)、応用生命科学専攻 宇治キャンパス研究室の見学会・大学院入試説明会を開催します」
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化学の目で酵素と生命のしくみを解き明かす 我々は、生命活動=化学反応の集積ととらえ、それぞれの化学反応を触媒している酵素(生体触媒)の仕組みや構造、その生理学的意義などを解き明かすことで生命現象を有機化学的に理解し、さらにはそれを人為的に制御することを目標に研究に取り組んでいます。
そのためには、生命現象と化学をむすぶ低分子化合物(酵素阻害剤、活性化剤、生理活性物質)から、生命現象をつかさどる高分子化合物(タンパク質、遺伝子)まで、すべてを射程距離におさめなくてはなりません。たとえば、 酵素の仕組みや構造をさぐるには、酵素と特異的に結合し、その活性を阻害する「酵素阻害剤」や「酵素活性化剤」が非常に有用なケミカルプローブとなります。また、これら阻害剤や活性化剤は、酵素活性の制御を介して生命活動を制御する新たな「生理活性物質」ともなります。天然にはない、新しい生理活性をもった機能性化合物を人工的に作りだすこと、これは化学の力で生命現象にアプローチする非常に魅力的な方法です。 生命活動にとって必要な特定の物質をつくりだす反応には、まだまだ知られていない未知の酵素がたくさん関わっています。それら未知の酵素を同定すること、すなわち、その遺伝子を特定し、その遺伝子産物(タンパク質)の性質を明らかにすることは、生命現象を理解するうえで非常に重要なテーマです。遺伝子を特定できれば、その発現を介して生命現象を理解するとともに、酵素の活性を人為的に制御することが可能になります。 天然物およびその類縁体のなかには、生命現象に大きな影響を及ぼす活性をもつものがあります。それら生理活性物質の作用点と作用機序を明らかにすることは、生命活動を化学的に理解する上で特に重要です。生理活性物質が in vivo で活性を発現するためには、最終的な作用点(タンパク質)への特異的結合以外に、細胞膜の透過や代謝(活性化)、化合物動態など、さまざまなプロセスが関わっています。それらが、化合物のどの構造に依存しているか、すなわち、低分子化合物による生理活性発現のための構造的要因を明らかにすることは、そこに関わるプロセスを理解し、新規な生理活性物質を創製するうえで欠かせません。 そこで、我々は、以上の観点に対応する3つのアプローチを採っています。
![]() 多元的なアプローチを採ることによって、有機化学、分子生物学、タンパク質化学、酵素反応速度論、生理活性化学など、幅広い領域の専門知識および技術を駆使し、さまざまな切り口で生命現象を理解することができます。また、複数の手法を組み合わせることで、従来のやり方では不可能だった領域に踏み込むことが可能になります。 たとえば、ある酵素の反応機構にもとづく特異的阻害剤を設計・合成すれば、同じ反応機構をもつ複数のアイソザイムをすべて阻害することができるため、その活性をもつ酵素群を一網打尽にケミカルノックアウトすることができます。この一網打尽型のケミカルノックアウトと、ピンポイント型の遺伝的ノックアウト(遺伝子破壊、RNAiなど)を組み合わせると、特定の部位・時間における特定のアイソザイムのもつ生理学的意義をさぐることができます。 また、酵素阻害剤を用いることで、特定の時期だけ酵素反応を止め、代謝フローを人為的に制御することで、代謝産物の生成量をコントロールすることが可能になります。これは遺伝子改変と組み合わせることで一層有用な方法になるでしょう。 特異的阻害剤をリガンドにアフィニティー担体を作製、それを用いて、酵素粗抽出液のなかからほしい活性をもつ酵素(群)を選択的に吸着、一段階で精製することが可能です。これは、酵素活性(反応機構)を唯一の手がかりに当該酵素を単離する有力な方法の一つで、特に、ゲノムの解明されていない生物種から、他に近縁酵素のない新規酵素の遺伝子クローニングには効果的です。 また、酵素レベルで有効な阻害剤は、往々にして、in vivo では期待した活性を示さないことがあります。これには、阻害剤が細胞膜透過性や代謝安定性に欠けるため作用点に到達できない可能性が考えられます。そこで、既存の生理活性物質が in vivo 活性を発現するために必要な構造単位のうち、生体膜透過性や代謝活性化に有効な構造についての情報が得られれば、これを分子設計に組み込むことで、タンパク質レベルで有効な酵素阻害剤を、in vivo でも有効な生理活性物質へと進化させるのに役立ちます。 このように、異なるアプローチから得られた知見は、相互にフィードバックすることで、それぞれの問題点を突破するよいヒントや斬新なアイデアをもたらします。我々が異なるアプローチを同時に進めているのは、まさに、この理由からです。しかし、それらすべての根底にあるのは chemistry です。我々は、徹底して、分子とその構造式でものを考え、単なる事実や現象の羅列ではなく、その背後に隠された化学的原理をつきとめ、きちんと理屈の通った化学のことばで生命現象を説明することを心がけています。 その観点から、我々の研究室では、化学をきちんと理解したうえで遺伝子や酵素を扱うことのできる人、タンパク質と低分子の相互作用を化学のことばで語れる人、生物活性を化学構造としてアウトプットし、自由自在に分子を設計できる人、こうした人材を育てることに力を入れています。 化学の視点から、天然にはない新しい生物活性をもったユニークな分子を創りだすことは、化学者としての誇りと大きなやりがいを感じます。 生命現象を酵素の働き(化学反応)という観点から理解することは、生命現象の本質を理解することであると確信しています。 酵素反応の制御を介して生命現象そのものを人為的に制御することは、科学者の野心的な夢です。 化学を軸として幅広い専門知識や技術を身につけたいと考える人、複雑な問題にさまざまな角度から切り込み斬新なアイデアで解決する知恵を習得したいと考える人、我々のポリシーに共感できる人、いざ来れ。ともに学びましょう。 研究紹介は、こちらからダウンロード。 google4ef16f2921763b3c.html |