過冷却高分子融体の長距離密度ゆらぎ

 粘度の高い過冷却液体や高分子溶体には液体であるにもかかわらず「長距離密度ゆらぎ」もしくは「フィッシャークラスター」と呼ばれる数百nmの構造(密度ゆらぎ)が存在します。この長距離密度ゆらぎは光を散乱しますので、光ファイバーの製作などの時には大きな問題となります。静的・動的光散乱を用いて調べています。

過冷却OTPのスペックル

フィッシャークラスターの生成

極端に遅い過程(Ultra-slow process)

フィッシャークラスターがスペックルとして観察される。
上:クラスターあり、
下:クラスターなし
フィッシャークラスターのない高温から低温(90℃以下)へ温度ジャンプすると、ゆっくりとフィッシャークラスターが生成していきます。PMpTSの場合、30℃で約35時間かかります。
フィッシャークラスター生成に伴いultra-slow process とよばれる非常に遅い過程(α-過程よりも数桁遅い)が出現します。

Acta. Polym., 45, 137(1994)
Macromolecules, 28, 7831 (1995)
Phys. Rev., E64, 31503 (2001)
AIP Conference Series, 708, 691 (2004)

起源:臨界温度TA以下で存在する固体的相(準安定相)のパーコレーションと考えられていますが、最終結論はまだです。