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スピンホール効果によるスピン緩和変調効果を発見(齊藤グループ&前川グループ)
齊藤グループと前川グループは共同で、スピンホール効果
とスピントルク効果の相乗効果により、薄膜のスピン緩和が電気的
に変調されることを発見しました。NiFe/Pt複合膜のPt層に電流を流しながら強磁性共鳴スペクトルを測定したところ、ス
ピンホール効果によりスピン流が生成され、このスピン流がNiFe層の磁化にスピントルクを与えることで緩和が変調されるこ
とを実証しました。今回の成果は、スピン緩和の電気制御の原理を
与えるのみならず、スピン流の定量的測定の手段を与えます。
本研究は、Phys.Rev.Lett.98 (2008) 036601に掲載されました。
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金の室温巨大スピンホール効果の観測に成功(高梨グループ&前川グループ)
高梨グループおよび前川グループは共同で、磁石の性質を
持たない金 (Au)の中で電流によってスピン流を制御する「スピンホー
ル効果」の観測に成功しました。共同研究グループは、垂直磁化を有
する鉄白金 (FePt)とAuを組み合わせたナノサイズ素子を作製し
その伝導特性を調べたところ、これまでの報告より100倍以
上 大きいスピンホール効果の電気信号が検出されることを実証
しました。今回の成果は、固体磁気記憶素子における新しい読み出
し手法や磁気センサ、さらには磁石を用いずにスピン流を生成する
新しいスピンエレクトロニクス素子として幅広い応用展開が期待さ
れます。
本研究成果は、Nature Materials 7 (2008) 12に掲載され、日本経済新聞や日刊工業新聞(2008年1月14日付)でも紹介されました。
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平成19〜22年 文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究「スピン流の創出と制御」
領域略称名:スピン流 領域番号:469 領域代表者 高梨弘毅