東京工業大学 フロンティア材料研究所

研究


      
複合アニオン化合物
      

金属酸化物はこれまで様々な金属元素(カチオン)の組合せにより膨大な数の構造が報告されてきたが、金属の配 位構造は基本的に共通する場合が多く(例えば銅であればCuO4平面四配位など)、得られる機能性には大きな制約があっ た。 しかし、酸化物に対してアニオン欠損を導入したり、酸素を水素や窒素、フッ素などで交換したりすることで、 配位構造のバリエーションは格段に広がる。例えば、MO6八面体(Mは金属)に対し二つの酸素を水素に交換すれば、 MO4H2八面体にはcis配置と trans配置という異なる配位状態が生まれる(図)。 このようなローカルな配位環境の違いは遷移金属のd軌道の分裂や相互作用の異方性を生み、 物質に与える機能性に広がりを与えると考えられる。さらに、複合アニオン化合物では、 価数、電気陰性度、分極率、サイズなど各アニオンの個性を活かすことにより物質設計に新たな次元を 加えることが可能であると考えられる。そのような意味において複合アニオン化合物の探索は興味深い。
酸水素化物の研究 (Inorg.Chem. 2015, Nat.Commun. 2017, Chem.Mater. 2018など),酸窒化物の研究(JACS 2016など), 酸セレン化物の研究 (PRB 2016,Angew.Chem.Int.Ed.2019)などを行っている。
       
       

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平面四配位鉄酸化物

2007年に、ペロブスカイト鉄酸化物SrFeO3の粉末試料に対し、水素化カルシウム(CaH2)粉末と混合し、 300℃程度の温度、真空下で熱処理することによって、酸素サイトが層状に欠損した構造をもつSrFeO2が出来ること が報告された。
SrFeO2の鉄(II)は、ヤーンテラーイオンでないにも関わらず平面四配位をとることが学術的な新規性である。通常 の鉄は、八面体、四面体などの三次元的配位構造をとる。
このSrFeO2のSrサイトの置換により、新規構造を持つCaFeO2 (JACS 2008, 2009), BaFeO2 (JACS 2012), (Sr,Ln)FeO2+d(Inorg.Chem. 2016)を報告した。またFeサイトのMn置換により、新規の磁気構造を発見した (PRB 2011, Inorg.Chem. 2011)。

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高圧下における構造や物性の変化

岩塩型構造を持った物質が高圧下で塩化セシウム型構造に構造相転移することは昔からよく知られていた。
このようなB1-B2構造相転移が岩塩型ブロックと平面四配位ブロックのインターグロース構造を持つSr3Fe2O5や A2MO3 (A = Sr, Ca; M = Cu, Pd)においても起こることを明らかにした (JACS 2011, Inorg.Chem. 2011)。
また平面四配位鉄酸化物における特異なスピン転移において、向かい合う鉄平面四配位同士の相互作用が重要な役割を果たし ていることを明らかにした (JACS 2011)。

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