研究設備


 スパッタリング装置

スパッタ装置は、電圧をかけ加速させたプラズマのイオンをターゲットにぶつけて、 ターゲットから物質を弾き出し、それを基板上に製膜する装置です。
我々の研究室には、アルバック製超高真空スパッタリング装置MPS-3000-C6(8元スパ ッタ)と株式会社エイコー・エンジニアリング製マルチターゲットスパッタ装置ES- 350(5元スパッタ)の2つのスパッタ装置があります。
それぞれのターゲット数は8(左)と5(右)で、交流(高周波)をかけることで絶縁体も簡単に 製膜できます。
no-img ターゲット:

Ferromagnets:
Fe, Co, Ni, Py, FeCoB, YIG
Tb, Gd (for ferrimagnets)
Antiferromagnets:
NiO, CoO, IrMn
Heavy metals:
Pt,Ta,W,Ir, Ru,Au
Other metals:
Cu, Ti, V, Nb, Mg, Cr
Dielectrics:
MgO, SiO2, SiN,
no-img ターゲット:

Ti, Cu, Au, Py, SiO2 etc.

  抵抗加熱蒸着器

抵抗加熱蒸着器は基板上に金属膜を積層させる装置です。真空(10 -4 Pa程度)にしたチャンバー 内で金属(金やクロムなど)を加熱して蒸発させ、基板に蒸発した金属を堆積させます。この装置は主に電気測定用の金電極を作製するために使用されます。
no-img ターゲット:

Cr,Au

  原子層堆積装置 (ALD)

原子層堆積装置は、高温、真空中で、酸化物前駆体と酸素の化学反応を起こすことで、酸化物の原子層を一層ごとに成膜することができます。これにより、高品質、高誘電率の酸化膜絶縁層を成膜する ことが可能であり、電界効果の測定素子など、高い静電容量が必要なゲート絶縁層の成膜に用いられています。
no-img ターゲット:

Al2O3、HfO2
 電子線描画装置

電子線描画装置(Electron Beam Lithography Exposure)、通称EBは電子線を利用して試料をナノスケールにパターニングする装置です。EBとアルゴンミリングや超高真空蒸着装置を組み合わせることで試料をナノスケールに加工できます。私達のグループではElionix社のELS-7080を使用しており、最小幅30 nmのリングをパターニングすることに成功しています。
no-img 電子線描画装置(ELS-7080) 本体
no-img 電子線描画装置(ELS-7080) 計算機と制御器
 フォトリソグラフィ

フォトリソグラフィは薄膜基板上にマスクパターン(模様)を転写し、像を描く微細加工装置です。薄膜基板上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクと呼ばれる設計図を通して光を当てると、光が当たった部分のフォトレジストが化学変化を起こし、像を描くことができます  
no-img  光源
 ミリング

イオンビームミリング装置(伯東社製)は、Arイオンを電界で加速し、ビーム状にして試料に照射する ことでエッチングを行う装置です。電子線描画装置や、フォトリソグラフィを用いてパタ ーンした試料をこの装置を用いて削ることにより、微細構造を有する試料の作製が可能で す。また、エンドポイントディテクター(Analytical社製)を用いてエッチングプロセス中の二次イオンをモニターし、エッチングプロセスに関する情報を得ることができます。  
no-img イオンビームミリング装置

 物性測定システムPPMS (from Quantum Design)

PPMSは、多種多様な物理特性(熱特性、磁気特性、電気特性、表面特性など) を自動で正確に測定するための、統合測定システムです。2.00~350.0 K, ~9.0 Tの広範囲の温度磁場条件の下、正確に測定を行うことが可能です。試料のセットも専用のプローブにセットして本体に挿入するだけで簡単に行うことができます。  
no-img 物性測定システムPPMS
no-img  測定用プローブ
 SQUID磁束計 (MPMS from Quantum Design)

Quantum Design社の磁気特性測定装置 MPMS-XL(左)、MPMS-3(右)は超伝導量子干渉素子(Superconducting quantum interference device: SQUID))を利用した高感度の磁束計です。高い磁場(MPMS-XL:最大5T、MPMS-3:最大7T)で、広い温度範囲(MPMS-XL:2K窶骭€400K、MPMS-3:2K-700K)で試料の磁化測定を行うことができます。これらの装置を使って作製した試料の磁気特性を調査しています。  
no-img 磁気特性測定装置 MPMS-XL
no-img 磁気特性測定装置 MPMS-3
 プローバー (垂直(左) 全方位(右) 面内) (東栄科学産業)

垂直プローバは面直(z軸)方向の磁場(~0.7T)を印加しながら電気測定を行うことができる装置です。主に垂直磁化容易軸を持つ強磁性体細線、ホールバーなどの素子を対象にして、電気抵抗や垂直磁化反転、磁壁移動などの特性を評価しています。

全方位磁界プローバ(東栄科学産業)は全方位の磁場 (面内 ~0.3 T ,面直 ~1 T)を印加しながら、電気測定を行う装置です。本研究室にある全方位磁界プローバは、カー効果を利用して磁場による磁区構造の変化を観察できるカー効果顕微鏡(MOKE)(ネオアーク)もセットアップされており、磁場による磁区像、カー効果のヒステリシス曲線、電気測定で示す磁区構造の変化など、いろんな磁気特性を評価することができます。

面内プローバは面内方向に磁場(~0.3T)を印加して電気測定を行う装置です。電磁石の方向を変化させることで磁場方向を変えることができます。主に面内磁化容易軸を持つ試料を対象にダンピング定数の測定やスピン波の伝搬などの特性を評価しています。
      
no-img  垂直プローバー
no-img   全方位プローバー
 THz吸収分光器

THz吸収分光器は、テラヘルツ体帯の周波数をもつテラヘルツ波をサンプルに当て、その透過信号を測定する装置です。この装置は研究室でつくられたもので、2種類のレーザーを掛け合わせて1 THz程度の周波数の波をつくり、それをサンプルに照射することで吸収分光を行います。様々なサンプルを測定でき、またクライオスタッドを使用することで77 K~300 Kまでの温度範囲で測定が可能です。これを利用することで、超高速のダイナミクスについて調べることができます。
no-img  THz吸収分光器
 ヘテロダインMOKE

本装置ではヘテロダイン検出法により、スピン波の強度と位相を同時かつ高感度に測定することができます。
特徴:「周波数範囲: DC ~ 12 GHz  「 レーザースポット: 1.0 x 0.6 μm
                  ↑ スピンダイナミクスの空間分解能
「 最小ステップ数: 10 nm  「 磁場範囲(面内): -150 ~ 150 mT
「 面内磁場角度: 0 ~ 360周波数範囲: DC ~€12 GHz
no-img  ヘテロダインMOKE
 GMW

電磁石・・・GMW社 MODEL5403 ELECTROMAGNET
シグナルジェネレータ・・・HEWLETT PACKARD社

GMWでは主に強磁性共鳴測定を行います。外部磁場中に強磁性体材料を設置したとき、強磁性体の磁化は外部磁場からトルクを受け、歳差運動を始めます。その際、外部から歳差運動と同じ周期の高周波磁場を印加すると、継続的に歳差運動が続きます。これを強磁性共鳴といいます。強磁性共鳴測定では、強磁性体の磁気異方性や歳差運動の緩和の大きさなどを測定することが可能です。
no-img GMW
測定条件 
磁場・・・-2T~2T
周波数・・・10MHz~50GHz
 回転マグネット(東栄科学産業社)

 回転電磁石は電気特性や磁気特性を自動で測定するための装置です。磁場の角度依存性を測定するためにサンプルを回転させる必要のあるPPMSとは異なり、超伝導コイルが回転することで360度測定することが可能です。測定可能温度は5.6 Kから300 Kまでで、磁場は0.4 Tまで印加することが可能です。面内磁場、面直磁場ともに測定することが可能です。
 
no-img 回転マグネット
 ヘリウム液化機 (from Quantum Design)

液体Heは低温での物性研究には欠かすことの出来ない寒剤です。しかし、Heは産出国も産出量も限られた重要な資源です。そこで、実験で使用したヘリウムガスを回収して再度液化して再利用しています。ヘリウム液化機は、気体のHeガスを液化する装置です。液化機を利用することにより低コストで安定した低温寒剤の供給を受けることが出来ます。我々のグループで利用している実験装置では、MPMSやPPMS、メスバウア分光実験装置のクライオスタットなどの低温実験装置がこの液体Heを使用しています。  
no-img  ヘリウム液化機正面
no-img  ヘリウム液化機側面
 ・スピンコーター
 ・超音波洗浄機
 ・ホットプレート
 ・ワイヤボンダー
 ・スクライバー
 ・真空加熱炉