高性能永久磁石創製を目指した磁性ナノ粒子の合成

磁石材料の性能を表すエネルギー積(BH)maxは、最強磁石であるNd2Fe14B磁石が開発されるまで飛躍的に向上してきました。現在、高飽和磁化、高異方性磁界を示すNd2Fe14Bよりも高性能な新規磁石材料を開発することが強く望まれています。一方、高磁化を有する軟磁性相と高保磁力を有する硬磁性相を組み合わせた構造を持つ交換結合ナノコンポジット磁石は、軟磁性相と硬磁性相の間に働く交換相互作用により、高保磁力と高磁化を併せ持つことができ、最大の(BH)maxが非常に高い高性能永久磁石として期待されています。効果的な交換結合の発現には、軟磁性相と硬磁性相のナノスケールでの精密な制御が必要であり、ナノ粒子をベースとした高性能交換結合ナノコンポジット磁石の創製が注目されています。


希土類磁石微粒子の合成


ナノ粒子法によるSm2Fe17N3硬磁性粒子の合成 (Chem. Lett. 2019, 48, 1054.)

交換結合ナノコンポジット磁石ナノ粒子の合成


金属塩からの大きなFePtナノ粒子のワンポット合成と熱安定性 (Langmuir 2006, 22, 3485.)


低温におけるFePtナノ粒子の水素誘起結晶構造変態 (J. Phys. Chem. C. (Letter) 2007, 111, 7231.)


異方性相分離Pd/γ-Fe2O3ナノ粒子の交換結合L10-FePt/α-Feナノコンポジット磁石への変換 (J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 4210.)


大きな最大エネルギー積をもつL10-FePt/α-Feナノコンポジット磁石における交換結合相互作用 (ACS Nano 2011, 5, 2806.)


効果的な交換結合の視覚化による強いL10-FePt/α-Feナノコンポジット磁石の創製 (Nanoscale Adv. 2019, 1, 2598.)