ヘテロ構造ナノ粒子を用いた高性能光触媒の創製

単一化学種からなるナノ粒子では、粒径、形状、結晶構造が主に制御すべき一次構造です。ナノ粒子が二種類以上の化学種からなる場合、一次構造制御因子として新たに組成、相分離構造(化学種がランダムに結晶のサイトを占める固溶体構造、各化学種が同心球状に分離したコアシェル層構造、異方的に相分離したヘテロ構造)が加わります。固溶体構造およびコアシェル層構造は、相分離の観点からはいずれも等方的です。二つの化学種が異方的に相分離したヘテロ構造が形成できれば、光励起により生じた励起電子・ホールを別々の相に分離することができ、長寿命電荷分離を達成することが可能になるため、高性能光触媒として機能します。光触媒として機能するヘテロ構造ナノ粒子として、半導体/半導体、金属/半導体などの組み合わせがあります。


半導体ー半導体ヘテロ構造ナノ粒子の合成と光触媒特性


CdS-CdTeヘテロ構造ナノ粒子における可視光励起電荷分離
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 17598; Chem. Sci. 2014, 5, 3831; J. Phys. Chem. Lett. 2014, 5, 2951.)


準type-II型テトラポッド形状CdS-CuInS2ヘテロ構造ナノ粒子における光誘起電荷の非局在化(Nanoscale 2016, 8, 9517.)


ドリアン形状CdS-ZnSeヘテロ構造ナノ粒子における長寿命電荷分離と水素生成(J. Phys. Chem. Lett. 2018, 9, 2212.)


Type-I型CdS-ZnSヘテロ構造ナノ粒子におけるホール移動による水素生成触媒活性増強(ACS Nano 2019, 13, 8356.)

水分解助触媒ナノ粒子の合成と光触媒特性


GaN:ZnO光触媒への助触媒共担持による可視光水分解光触媒活性の向上(Anger. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 4096. (Hot Paper))


S2–保護Ni3S4ナノ粒子のLayer-by-Layer積層助触媒膜形成と水素生成触媒活性(ChemNanoMat 2017, 3, 764. (Front Cover))


Mn3O4酸素生成ナノ粒子助触媒へのCoドープによる光触媒的水分解反応の加速(Nanoscale 2018, 10, 10420. (Back Cover))


NiPx@FePyOzナノ粒子:自発的構造変態と配位子脱離による電気および水酸化ナノ触媒
Chem. Sci. 2018, 9, 4830. (Highlighted in Vincent Artero's Editor's Choice Selection))