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研究内容
(2)サイトカイニンシグナル伝達の制御機構の研究

サイトカイニンシグナル伝達の初期過程
 サイトカイニンは、シュート形成の促進、葉緑体の分化・増殖、黄化の遅延など、多岐にわたる植物固有の現象に関わる植物ホルモンです。シロイヌナズナでは、サイトカイニンは細胞膜上の受容体Hisキナーゼによって感知され、そのシグナルがHis-Aspリン酸リレーを介して転写因子型レスポンスレギュレーター(type-B ARR)へと伝達され、その結果、様々な機能を有する初発応答遺伝子の転写が活性化されます。
A,B: 野生型シロイヌナズナ、
C,D: 35S:ARR1を持つ形質転換体
E,F: 35S:ARR1DDDK-GRを持つ形質転換体
A,C,E: 無処理、B,D: BA (1mM)処理、F: DEX (0.1 mM)処理、ARR1DDDK-GRはグルココルチコイド(DEX)により活性化される。
これまでに私たちは、type-B ARRの代表であるARR1のDNA認識配列の決定など、ARR1の転写因子としての基本的な分子機能を明らかにするとともに(Sakai et al., 2000, Plant J)、ARR1の機能欠失型変異体arr1-1や人為的に転写活性化能が誘導できる改変転写因子ARR1DDDK-GRを発現する形質転換植物体を用いて、ARR1がサイトカイニンシグナルに応答して初発応答遺伝子を直接転写活性化すること証明しました(Sakai et al., 2001, Science)。さらに、ARR1DDDK-GR系を用いてARR1の直接標的遺伝子の全体像を明らかにし、ARR1および他のtype-B ARRがサイトカイニン応答の初期過程において中心的な役割を果たすことを示しました(Taniguchi et al., 2007, Plant Cell Physiol)。現在、type-B ARRによる転写活性化の分子機構の解明、および細胞分化や葉緑体の分化・増殖などのサイトカイニン応答現象へと続く情報伝達径路の解明を目指して研究を進めています。

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