機能概要
Gaussian は、広範囲にわたる ab initio モデルや半経験的モデルをサポートした汎用量子化学計算パッケージプログラムです。このコードでは、分子軌道の計算でよく使われているHartree-Fock (HF)や電子相関を考慮したPost-HFプログラムを利用することができます。さらに、あらかじめ用意された多数の基底関数だけでなく、ユーザ自身が定義した関数を利用することもできます。
利用方法
以下ではGaussianを計算サーバで実行する方法などをご説明します。
なお、GaussianおよびGaussViewの京都大学宇治地区サイトライセンス契約に関する事項、特にインストールメディアをお借りしたい方は、
こちらをご参照ください。
利用範囲
制限なし
利用キュー
すべて
実行方法
Gaussian16 を実行する場合には rung16 コマンドを使用します。
コマンド実行前に、module コマンドで必要な環境を設定してください。
% module load g16/c01
% rung16 input output
inputおよびoutputは、入力ファイルおよび出力ファイルです。
リビジョンとモジュール名の対応は以下の通りです。
リビジョン | モジュール名 |
G16 Rev.C01 | g16/c01 |
G16 Rev.B01 | g16/b01 |
サンプルファイル
Gaussianには多くのサンプルファイルが付属していますので、適宜マニュアルとともにサンプルファイルも参考にしてください。
サンプルファイルの格納場所は以下となります。
/usr/appli/g16/XXX/g16/tests/com (XXX:b01, c01 等のリビジョン名)
実行例(CPU版の場合)
以下に、Gaussianジョブの実行手順を簡単に紹介します。
- 入力ファイルを用意します。ここでは、上記のサンプルファイルを利用することにします。
% cp /usr/appli/g16/c01/g16/tests/com/test0001.com . ← サンプルファイルのコピー
% cat test0001.com ← サンプルファイルの内容確認
- Gaussianの環境設定をして、実行します。
% module load g16/c01 ← Gaussianの環境設定
% rung16 test0001.com out.log ← Gaussianの実行
ここでは、計算結果ファイル名を out.log としています。
計算は、1〜2秒ほどで終了します。
- 計算結果ファイルを確認します。
% less out.log ← out.log の内容確認
(less コマンドは、スペースキーで下にスクロールします。終了するには、q を入力します。)
計算結果ファイルの最後に、以下のように Normal termination と出力されていれば、
正常に終了したことになります。
QUESTIONS ARE PROBLEMS IN APPLIED MATHEMATICS.
-- EYRING, WALTER, & KIMBALL, 1944
Job cpu time: 0 days 0 hours 0 minutes 0.8 seconds.
Elapsed time: 0 days 0 hours 0 minutes 1.9 seconds.
File lengths (MBytes): RWF= 5 Int= 0 D2E= 0 =>
=> Chk= 1 Scr= 1
Normal termination of Gaussian 16 at Wed Jan 18 10:12:59 2017.
次に、test0001.com をバッチジョブとして実行する方法を紹介します。また、先ほどは
使用CPU数を指定しませんでしたが、今回は、4並列ジョブとして実行することにします。
- test0001.com の先頭部分に、並列ジョブ数とチェックポイントファイル名を指定するための
設定をします。
%nproc=4 ← 4並列で実行
%mem=200MB ← 計算で用いられる動的メモリサイズの指定
%chk=test0001.chk ← チェックポイントファイル名を指定
#P TEST STO-3G COMPLEX pop=full scf=tight
Gaussian Test Job 01
SINGLET DELTA STO-3G//STO-3G DIOXYGEN
0 1
O
O 1 R
R 1.220
- この入力ファイルを実行するためのバッチスクリプトを作成します。
ここでは、バッチスクリプト名は、g16.qsub とします。
#!/bin/csh
#PBS -q SMALL ← バッチキューの指定
#PBS -N title ← ジョブ名の指定
#PBS -l select=1:ncpus=4:mem=256mb ← 並列数およびメモリサイズの指定
source /etc/profile.d/modules.csh ← module コマンドの設定
module load g16/c01 ← Gaussianの環境設定
cd $PBS_O_WORKDIR ← バッチスクリプトのあるディレクトリへ移動
rung16 test0001.com out.log ← Gaussian の実行
- バッチスクリプトを実行します。バッチスクリプトを実行するための
コマンドは qsub です。
% qsub g16.qsub
- インタラクティブでの実行と同様に、out.log の内容を less コマンドで
確認し、最後に Normal termination が表示されていれば、正常終了したことに
なります。
今回は、入力ファイル内で %chk によってチェックポイントファイルtest0001.chk
の作成を指示しました。このファイルを元に、
gaussview 等で電荷分布や分子軌道を表示させることができます。
詳しくは、Gaussianやgaussviewのマニュアルを参照ください。
注意点
バッチ利用時には、バッチスクリプト内にもCPU数およびメモリサイズを指定してください。
その際、メモリサイズは、Gaussian入力ファイル内の%mem の値よりも少し大きめの値に
設定をお願いします。バッチでは、バッチスクリプトよりも少しでもメモリを多く使用した場合、
ジョブが異常終了することになります。そのため、少し余裕を見て、入力ファイルよりも
少し大きめの値を設定されることをお勧めします。
Gaussian Utility コマンド
Gaussianには多くのUtilityコマンドが付属しています。
コマンド名 |
機能 |
c8616 |
G16以前のGaussianプログラムによって作成されたチェックポイントファイル(.chkファイル)をG16用のフォーマットに変換します。 |
chkchk |
チェックポイントファイル内のルートセクション(ジョブタイプ、計算手法、用いる基底系)と、タイトルセクション(ジョブタイトル)を抜き出して表示します。 |
cubegen |
チェックポイントファイルからGaussian Cube形式のファイルを作成します。 |
cubman |
cubeファイル上で、電子密度や静電ポテンシャル値を操作するのに用います。 |
formchk |
バイナリ形式のチェックポイントファイルをアスキーフォーマットに変換します。 |
freqchk |
チェックポイントファイルから、振動数、熱化学計算のデータを取り出します。 |
freqmem |
振動数計算時に必要とされるメモリー容量を得ることができます。 |
gauopt |
分子座標以外の変数の最適化を実行します。 |
mm |
Gaussianの分子力学プログラムです。Gaussianの標準入力ファイルから構造データを読み込み、力場を指定して計算します。 |
newzmat |
PDB, MOPACなど、各種ファイルフォーマットに対応したファイル変換ツールです。 |
unfchk |
(formchkツールと反対に)アスキーフォーマットのチェックポイントファイルをバイナリ形式に変換します。 |
マニュアル
※MacOSへのインストール手順はこちらも参照ください。
関連サイト
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