平成16年4月における京都大学の独立行政法人化にともない、化学研究所は研究部門、附属施設を再編成、5研究系、3附属センター制に転換(31研究領域、5客員研究領域)に改組された。この改組により我々の研究室は複合基盤化学研究系高分子物質研究領域となった。前進は繊維化学研究部門と高分子構造研究部門の統合転換により、1987年(昭62)5月設置された大部門 材料物性基礎研究部門(Laboratory of Fundamental Material Properties)である。
研究室の沿革を述べる場合、前者に触れなければならない。繊維化学研究部門は、1964年(昭39)3月設置され、当初、辻和一郎教授が担当し、1974年(昭49)4月同教授停年退官後、北丸竜三教授に引継がれ、上記大部門への転換まで続いた。材料物性基礎研究部門は、3つの小部門と客員研究部門からなるが、第二研究部門(高分子物質科学領域)が高分子化学専攻に属し、北丸教授が担当した。1988年(昭63)3月同教授停年退官後、梶慶輔教授に引継がれた。2002年(平14)3月同教授停年退官後、2003年1月より金谷利治教授に引継がれ、平成16年3月まで続いた。独立行政法人化にともない複合基盤化学研究系高分子物質研究領域へ転換した。
1981年(昭56)から現在に至るまでの教官の移動は、下記の通りである。1981年(昭56)1月当時の繊維化学研究部門の教官は、北丸竜三教授、筏義人助教授、細野正夫助手、梶慶輔助手であった。1981年(昭56)4月細野助手の停年退職に伴い、同年7月堀井文敬が助手に任用された。また、同年7月筏助教授の医用高分子研究センター教授への昇任・転出に伴い、同年12月梶助手が助教授に昇任、1982年(昭57)4月金谷利治が助手に任用された。1987年(昭62)5月大部門への転換により、北丸教授、梶助教授、金谷助手は、材料物性基礎研究部門第二研究部門(高分子化学専攻)に所属、堀井助手は第三研究部門(工業化学専攻)の助教授に昇任・移籍した。1988年(昭63)3月北丸教授の停年退官に伴い、同年4月梶助教授は教授に、1989年(平1)3月金谷助手は助教授に各々昇進し、1990年(平2)2月西田幸次が助手に任用された。2002年(平14)3月梶慶輔教授停年退官に伴い、2003年(平15)1月金谷利治助教授は教授に昇任した。2004年(平16)2月西田助手が、助教授に昇進した。さらに2004年(平16)4月松葉豪が助手に任用された。2009年(平成21)6月松葉助教が山形大学准教教授に昇任し、後任として井上倫太郎が同年7月助教に任用された。
2014年(平26)4月井上倫太郎助教の京都大学原子炉実験所准教授への昇任・転出に伴い、後任として小川紘樹が同年4月より助教として任用された。
2015年(平27)6月金谷利治教授の高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の教授(J-PARC物質・生命科学実験施設ディビジョン長)への異動に伴い、後任として2015年(平28)10月竹中幹人が教授に任用された。
2021年(令3)4月中西洋平が助教に任用された。
当該研究室は京都大学化学研究所に属すると同時に、京都大学大学院工学研究科高分子科学専攻の研究協力講座ともなっている。よって、学部学生は工学部工業化学科より、大学院学生は工学研究科高分子科学専攻より配属される。
現代社会を支える3大材料とは、高分子、金属、セラミックスであるが、我々の研究室ではそのうち、高分子材料の研究に取り組んでいる。高分子材料の高機能化・高性能化のために、主に散乱法(中性子散乱、X線散乱、光散乱)や顕微鏡法(透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡)を用いてナノメータースケールからミクロンスケールにおいて微視的視点から高分子材料が作る階層的高次構造および形成機構の解明と制御法の確立を目指して研究を進めています。また、同時に基礎研究として高分子を中心としたソフトマターの研究を進めています。具体的には、ブロックコポリマーの自己組織化構造とその形成過程、高分子の結晶化機構と高次構造形成、高分子のガラス転移機構、高分子ゲルの階層構造と生成機構、高分子電解質溶液の構造、高分子拘束系のダイナミクスと相分離、装置開発などを行っています。今後の基礎研究の方向として、量子ビームによるソフトマター科学の創成を目指しています。
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