高分子とは、原子が何千個、何万個もつながってできた非常に大きな分子です。実は、私たちの身の回りにあるものの多くは高分子でできています。コンビニのお弁当容器やレジ袋、飲み物のキャップ、さらには車のシートやダッシュボードなど、普段意識することは少なくても、高分子は私たちの生活を支えています。
我々の研究テーマは、高分子が自ら作り出す「構造(自己組織化)」を理解し、それを制御することです。自己組織化とは、原子や分子が自発的に並び、構造を形成する現象であり、その構造の違いによって、高分子の硬さや強さ、透明性などの性質は大きく変化します。同じ材料であっても、中でどのような構造が形成されているかによって性能が大きく変わる点に、高分子材料研究の面白さがあります。 我々は、タイヤや有機ガラス、電子デバイス材料に加え、リサイクル高分子材料やバイオベースポリマーも研究対象としています。用途は異なっていても、性能を決めているのは自己組織化によって形成される構造です。特に近年は、リサイクル材料やバイオベース材料で性能が低下する原因を構造の観点から明らかにし、高性能化につなげる研究に取り組んでいます。高分子の構造は、ナノメートルからマイクロメートルスケールに至る階層構造を持つため、可視化解析を通じてその全体像を理解することが重要です。そこで私たちは、SPring-8 などの大型放射光施設を用いたX線散乱実験、電子顕微鏡法、さらにはX線CTなどの手法を組み合わせ、階層構造を多角的に可視化しています。